設備解説

スプリンクラー設備の仕組みと種類を消防設備士が解説

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 スプリンクラーには「湿式」や「乾式」など意外と様々な種類があります。専門知識がない方でもわかるようにスプリンクラー設備について解説します。

 みなさんは火を消す方法といえば何を思い浮かべるでしょうか?多くの方が最初に「水をかける」という方法を思いつくと思います。

 火災が起きたら水をかけて消す消防設備が「スプリンクラー設備」です。

 実は、スプリンクラー設備にも種類があって、知ると奥が深いんです。

 この記事では、スプリンクラー設備についてご紹介します。

 陰ながらみなさんの生活を火災から守っている消防設備について興味を持ってもらえるとうれしいです。

 消防設備士の資格を取得している知識を生かして、消防設備について専門用語を使わずにわかりやすく解説します。

 みなさんの生活を陰ながら守っている消火設備について知ってもらうことで、みなさんが安心して生活できることを目指しています。

 また、消火設備について興味を持ったり、重要性が伝わると嬉しいです。

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※消防設備士とは、感知器やスプリンクラー設備などの消防設備を設置・点検できる国家資格です。

スプリンクラー設備は最も消火性能が高い消火設備

 「火を消すには水をかける」みなさんがすぐにこの方法を思いつくのは、水をかけるという消火方法が非常に強力であるからなんです。

 火を消すためには、「燃えるものを除去する」「温度を下げる(冷却)」「酸素を排除する(窒息)」という3つの方法があります。

 スプリンクラー設備は主に、数百度~数千度にも及ぶ炎を100℃で水蒸気になる水で冷却して消火するシステムです。

 このほかにも、泡消火設備やガス消火設備などがあり、用途によって使い分けられています。

項目スプリンクラーガス
主な消火方法冷却冷却・窒息窒息
長所強力油火災に有効濡らさずに消火
短所濡れてしまう清掃が大変閉鎖が必要
設置例事務所駐車場機械室

 スプリンクラー設備の長所と短所をもう少し掘り下げてみましょう。

  • 消火能力が高い
  • 設備が比較的シンプル
  • 濡れることにより機械の故障や部屋の清掃が必要になる。
  • ガソリンなどの油火災は逆効果になる場合がある。

スプリンクラーの種類

 スプリンクラー設備には種類があります。スプリンクラー設備の弱点を補うために工夫したり、大規模な火災に対応できるように強力にしたりしています。

 水が出る部分「スプリンクラーヘッド」は、炎によって加熱されると「ふた」が外れて、放水するようになっています。

 このように、「ふた」がついているスプリンクラーヘッドを使用するスプリンクラー設備を「閉鎖型スプリンクラー設備」と言います。

湿式スプリンクラー設備

湿式スプリンクラー設備の簡易図

 まずは、閉鎖型スプリンクラー設備の基本となる「湿式スプリンクラー設備」について解説します。

 まずは水道をイメージしてみてください。水道管の中には水が「ぎゅうぎゅう」に詰め込まれており(圧力が高い)、蛇口をひねると、詰め込まれていた水が一気に飛び出します。

 湿式スプリンクラー設備の配管の中にも水が「ぎゅうぎゅう」に詰め込まれています

 「ふた」がついたスプリンクラーヘッドと、配管の栓(流水検知装置)によって水を閉じ込めることによって、配管内の水を「ぎゅうぎゅう」な状態で保ちます。

 配管の栓(流水検知装置)は上にしか開かない構造になっており、上から「ぎゅうぎゅう」の水が押さえつけているため、栓が閉まっています。

 また、配管の栓(流水検知装置)は各部屋ごとに設置されており、火災によって作動しても、火災が起きていない部屋の栓(流水検知装置)は閉まっているため、火災が起きた部屋にのみ水が送り込まれていきます。

 火災が起きると、炎の熱によってスプリンクラーヘッドの「ふた」が取れて、水が流れられるようになります

 そうすると、水道の蛇口をひねったように、炎に向かって水が流れ出します。

 さらに、配管内の水が流れ出したことによって「ぎゅうぎゅう」ではなくなる(減圧する)ため、配管の栓(流水検知装置)を抑えられずに栓が開きます。

 栓(流水検知装置)にはスイッチがついており、栓(流水検知装置)が開くとスイッチがONされ、ポンプが動いて水槽から配管へ水を送り込みます。

湿式スプリンクラー設備のチャート
  • Step1
    火災発生

  • Step2
    スプリンクラーヘッド作動

    火災の炎によってスプリンクラーヘッドが加熱され、「ふた」が外れてスプリンクラーヘッドから水が流れる。

  • Step3
    栓(流水検知装置)開放

    配管の栓(流水検知装置)が開いてポンプを動かすスイッチを押す。

  • Step4
    ポンプ始動

    ポンプが動き出し、水槽の水をスプリンクラーヘッドまで送り込む。

  • Step5
    消火

    スプリンクラーヘッドから出た水によって炎が冷却され、初期消火が行われる。

 配管の栓は配管から流水したことをポンプなどに知らせる役目があるので、「流水検知装置」と呼ばれます。

乾式スプリンクラー設備

乾式スプリンクラー設備のイメージ図

 湿式スプリンクラー設備は配管が水で満たされています。配管は天井裏に伸びており、東北や北海道などの過酷な環境では、配管内の水が凍結してしまう場合があります。

 このような地域で、水道管が凍結している様子を見たことがあるのではないでしょうか。スプリンクラー設備も同じイメージです。

 そこで考えられたのが、配管内を水の代わりに空気で満たす「乾式スプリンクラー設備」です。

 湿式スプリンクラーの「配管内の水」が「空気」に変わった設備で、「ふた」がついたスプリンクラーヘッドと、配管の栓(流水検知装置)によって空気を閉じ込めることによって、配管内の空気を「ぎゅうぎゅう」な状態(圧縮空気)で保ちます。

 湿式スプリンクラー設備では配管内にポンプを使って水を詰め込んでいましたが、乾式スプリンクラー設備では「コンプレッサー」という機械を使って空気を詰め込みます

 火災が起きると、炎の熱によってスプリンクラーヘッドの「ふた」が取れて、配管内から空気が抜けます。

 配管内の空気が抜けたことによって、配管の栓(流水検知装置)を抑えられずに栓が開きます。

 栓(流水検知装置)が開くとスイッチがONされ、ポンプが動いて水槽から配管へ水を送り込みます。

 この水がスプリンクラーヘッドまで届くと放水が始ります。

乾式スプリンクラー設備のチャート
  • Step1
    火災発生

  • Step2
    スプリンクラーヘッド作動

    火災の炎によってスプリンクラーヘッドが加熱され、「ふた」が外れてスプリンクラーヘッドから空気が抜ける。(この時点では水が出ない)

  • Step3
    栓(流水検知装置)開放

    配管の栓(流水検知装置)が開いてポンプを動かすスイッチを押す。

  • Step4
    ポンプ始動

    ポンプが動き出し、水槽の水をスプリンクラーヘッドまで送り込む。

  • Step5
    消火

    スプリンクラーヘッドから出た水によって炎が冷却され、初期消火が行われる。

 湿式スプリンクラー設備よりもワンテンポ遅くなっていますね。

配管内の水が凍結するのを防ぐ。

放水が始まるまでに時間がかかる。

予作動式スプリンクラー設備

 これまで紹介してきた2種類のスプリンクラー設備は、配管内の水が抜けたり、空気が抜けたりすることによって動きました。

 スプリンクラーヘッドがはじけて動くのは良いのですが、もし、配管に穴が空いてしまったらどうでしょう。

 当然、配管に穴が開いてしまっても配管の栓(流水検知装置)が開き、ポンプから送られた水が配管に空いた穴から勢い良く流れ続けます

 このような誤作動を防ぐために、感知器によって配管の栓(流水検知装置)を開けるようにしたのが「予作動式スプリンクラー設備」です。

 湿式スプリンクラー設備と乾式スプリンクラー設備それぞれに使われているシステムですが、今回は湿式スプリンクラー設備である「湿式の予作動式スプリンクラー設備」を代表例として紹介します。

 基本的な動きは前述の2機種と同じなので、細かい説明は省略します。

 

湿式の予作動式スプリンクラー設備のチャート
  • Step1
    火災発生

  • Step2-a1
    栓(流水検知装置)開放

    感知器が作動して栓(流水検知装置)を開ける

  • Step2-a2
    ポンプ始動

    ポンプが動き出し、水槽の水をくみ上げる。(スプリンクラーヘッドが作動していなければ水は出ない。)

  • Step2-b
    スプリンクラーヘッド作動

    火災の炎によってスプリンクラーヘッドが加熱され、「ふた」が外れてスプリンクラーヘッドから流水する。

  • Step3
    消火

    スプリンクラーヘッドから出た水によって炎が冷却され、初期消火が行われる。

 このように、配管の栓(流水検知装置)を開けるのが感知器になっただけです。先にスプリンクラーヘッドがはじけても、その後に感知器が作動すれば消火を行うことができます。

 順番が前後しても動作するため、Step2を並列して記載しました。

 では、この設備の肝である、配管に穴が空いた誤作動の動きを確認してみましょう。

湿式予作動式スプリンクラーで誤作動した場合のチャート
  • Step1
    配管破損

    配管内の水が漏れ出る。

  • Step2
    栓(流水検知装置)は開放しない

    感知器が作動していないため、栓(流水検知装置)は開放しない。

  • Step3
    ポンプも動かない

    栓が空かないため、ポンプも動かない。

 配管内の水が流水しても、栓(流水検知装置)が動かないので、水槽の水が次々と送られてくることがないのです。

 他にもスプリンクラーヘッドに物が当たってしまってはじけてしまっても、誤作動を止めることができます。

配管内の水が漏れることによる設備の誤作動を防ぐことができる。

減圧を利用したスプリンクラー設備

 予作動式スプリンクラー設備は、ポンプで水槽の水を送らないことから、水による損害(水損)を大幅に減らすことができます。

 しかし、配管内の水が出てしまい、完全に水損をなくすことができません。さらに水損を減らす方法として、配管内の圧力を減らすスプリンクラー設備があります。

 負圧や真空といった言葉が使用される設備で、予作動式スプリンクラー設備を応用した設備です。

 ストローで水を吸うようなイメージで、穴が空いても配管内に吸い込まれるような力が水に働くため、水損がほとんどなく済ませることができます

配管が破損しても漏れる水がほとんどない。

開放型スプリンクラー設備

開放型スプリンクラー設備のイメージ図

 これまでとは違い、スプリンクラーヘッドに「ふた」がついていない「開放型」のスプリンクラー設備について説明します。

 閉鎖型のスプリンクラー設備はスプリンクラーヘッドによって水を閉じ込めていましたが、開放型のスプリンクラー設備はスプリンクラーヘッドが開いているので、水が流れ出てしまいます。

 そのため、スプリンクラーヘッドの近くに配管の栓A(一斉開放弁)を設けて水を「ぎゅうぎゅう」に閉じ込めます

 この配管の栓Aの先には「ふた」がついたスプリンクラーヘッドのようなもの(感熱継手)が設置されており、この間の配管に空気を「ぎゅうぎゅう」に閉じ込めています。

 火災が起きて「ふた」がついたスプリンクラーヘッドのようなもの(感熱継手)がはじけると、配管内の空気が流れ出ていき、配管の栓B(一斉開放弁)が開きます。

 すると、ポンプの近くの配管の栓A(流水検知装置)が作動して、ポンプを始動します。

 ポンプが水をスプリンクラーヘッドまで運んでいき、一斉開放弁より先のスプリンクラーヘッド全てから一斉に放水します。

開放型スプリンクラー設備のチャート
  • Step1
    火災発生

  • Step2
    スプリンクラーヘッドのようなもの(感知継手)作動

    火災の炎によってスプリンクラーヘッドのようなもの(感熱継手)が加熱され、「ふた」が外れて配管から空気が流れる。(感知器で動かすことも可)

  • Step3
    栓B(一斉開放弁)開放

    配管内の空気が抜けたことで配管の栓(一斉開放弁)が開いて、配管内に「ぎゅうぎゅう」に詰まった水が開放される。

  • Step4
    栓A(流水検知装置)開放

    配管の栓A(流水検知装置)が開いてポンプを動かすスイッチを押す。

  • Step5
    ポンプ始動

    ポンプが動き出し、水槽の水をスプリンクラーヘッドまで送り込む。

  • Step6
    消火

    一斉開放弁の先にあるスプリンクラーヘッド全てから一斉に出た大量の水によって炎が冷却され、初期消火が行われる。

 広い区画に一度に放水するため、スプリンクラー設備の中でも高い消火能力があります。

  ポンプ側の配管の栓(流水検知装置)で消火する部屋を選択し、スプリンクラーヘッド側の栓(一斉開放弁)で放水するスプリンクラーヘッドのグループを選択しています。

 また、配管の栓B(一斉開放弁)は感知器で作動させる設備が多くなっています。

一度に多くのスプリンクラーヘッドから放水するため、消火能力が高い。

まとめ

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 消防設備の中でも基本的で強力な消火能力を持つ「スプリンクラー設備」について、4つの種類を解説しました。

  • 湿式: 最も基本でスピーディーな消火
  • 乾式: 寒冷地での凍結を防ぐ
  • 予作動式: 誤作動による水濡れ被害を減らす
  • 開放型: 大量の放水で一気に消火する

 スプリンクラー設備には様々な種類があり、用途によって使い分けられているのです。

 みなさんに少しでも消防設備について興味をもってもらえたらうれしいです。

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