- 自宅でキャンドルを使用したい人
- 住宅用火災警報器が鳴った時に備えたい人
- 消防設備に興味がある人
火のゆらめきを感じたり、蝋の香りを楽しんだりとキャンドルは日常に癒しを与えてくれます。
しかし、自宅で使用するとなると火災警報器が鳴るのではないかと不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
消防設備士の資格を持つ僕が、キャンドルを使用したときに火災警報器※が鳴ってしまうのか考察します。
※この記事では、家に設置する警報音や音声で火災を知らせる機器を住宅用火災警報器と呼びます。火災感知器や火災報知器とも呼ばれることもあります。
消防設備士とは感知器などの消防設備を設置したり点検できたりすることができる国家資格です。住宅用火災警報器は消防設備士が設置するわけではないのですが、これまでの知識を使って考察します。
結論からお伝えしますと、キャンドルを使用しても火災警報器が鳴る可能性は低いので、安心してご自宅でキャンドルをお楽しみください。
僕もよくキャンドルを自宅で使用するのですが、火災警報器が鳴ったことはありません。
ただし、火を使用することには違いないので、火災警報器が鳴る可能性はゼロではありません。万が一火災警報器が鳴った時の対処法についてもご紹介します。
住宅用の火災報知器は主に2種類
住宅用の火災警報器は主に煙感知器と熱感知器があります。
読んで字のごとく、煙感知器は火災から発生する煙で反応し、熱感知器は火災から発生する熱で反応します。
煙感知器には煙が入り込む隙間が設けられています。台所などの例外を除いて、基本的には煙感知器が設置されます。

熱感知器は熱を感じるための突起が設けられていることが多いです。熱感知器は台所や脱衣所などの煙感知器だと誤検知する可能性がある場所に設置されます。
キャンドルで住宅用の火災報知器は鳴るか
煙感知器
煙感知器は炎から発生する煙で反応するのですが、基本的にはキャンドルから発生する煙程度で反応する可能性は少ないです。
煙感知器が反応する煙の濃度は法律※1で決められており、煙の濃度は光が1mの幅を持つ煙を通ったときにどれだけ暗くなるかという値で定めています。
主に使用されている2種の煙感知器は10%暗くなるという値と決まっています。これは、ホーチキ株式会社のサイト※2によると、天井にうっすらと煙が溜まった状態です。
キャンドルから発生する煙の量で天井に煙が溜まることは考えにくいので、キャンドルで煙感知器が鳴る可能性は少ないと考えます。
ただし、黒い煙(すす)が出るような大型の木芯キャンドルを煙感知器に近づけると、作動する可能性はあります。
※1 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成十七年総務省令第十一号)
※2 ホーチキ株式会社 http://faq.hochiki.co.jp/faq/show/48?category_id=74&site_domain=default
熱感知器
熱感知器は多くの製品が65℃~80℃程度になると作動します。作動する温度は製品によって異なります。
キャンドルの火炎の温度は1000℃近くあり、65℃~80℃よりもかなり高いのですが、空気が65℃まで加熱されて熱感知器まで届く可能性はほぼ無いと考えます。
ただし、キャンドルの炎で直接熱感知器を加熱すると確実に熱感知器が反応して鳴ること考えられるので、注意してください。
シミュレーションで検証
感知器はキャンドルではならないという考察をしましたが、この考察が正しいかをシミュレーションで検証してみます。
シミュレーションは、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)のFDS(Fire Dynamics Simulator)という火災シミュレーターを使用します。
火災の研究などにも使用されているシミュレーターです。
- 2 m四方の空間について計算し、天井と床面以外は開放されています。
- 床から天井は2 m~0.5 mの範囲を0.5 m刻みで計算します。
- 燃料は多くのキャンドルに使用されているパラフィンを想定します。
- キャンドルの直上に煙感知器を設置します。
シミュレーションの様子は下の画像のようになりました。キャンドルの燃焼規模が小さいので、炎や煙が見にくいのですが、燃焼しています。

よく見ると煙が確認できます。また、発熱を可視化するとキャンドルの上部で熱が発生していることがわかります。
実際にキャンドルを使用しているときも、「もくもく」と煙が立ち上がるわけではなく、このシミュレーションのように、とても薄い煙が発生していると思います。
煙感知器が反応すると緑色のランプが赤くなるのですが、このシミュレーションでは2種の煙感知器が反応しないことが確認できました。
煙の濃度を計測したグラフを下に貼ります。10%を超えると煙感知器が反応するのですが、10%には到底及ばないレベルであることがわかります。

キャンドルによる燃焼規模は小さいため、発生する煙は薄くなります。さらに、燃焼規模が小さいということは、上方向への空気の流れもあまり早くなく、煙が周りの空気に薄められていきます。
シミュレーションの結果からも、キャンドルによって感知器が反応しない可能性が高いことが確認できました。
もし住宅用の火災報知器が鳴ってしまったら
戸建てや小規模な集合住宅の場合(火災警報器)
基本的には住宅用の火災警報器が動いても、直接消防署に連絡がいくわけではないので安心してください。
とはいえ、70 dB以上の音が火災警報器から鳴っているので、近くにいた人が通報してしまう可能性があります。落ち着いて対処しましょう。
火災警報器にひもがついている場合はひもを引っ張ると警報音が停止します。
火災警報器にひもがなく、ボタンがついている場合はボタンを押すと警報音が停止します。

煙感知器を操作しても再び鳴ってしまう場合は、煙が中にこもっている可能性があります。風を送って、感知器の中から煙を出してみてください。
通常は自然に煙が抜けていくので音を止めることができます。
大規模な集合住宅の場合(火災報知器)
こちらも、基本的には住宅用の火災報知器が動いても、直接消防署に連絡がいくわけではないので安心してください。
ただし、火災を知らせるベルが鳴ってしまったり、インターホンが鳴ってしまう可能性があります。
火災報知器が鳴ると、受信機と呼ばれる機械が火災を知らせます。受信機は管理人室などにあるので、管理人さんや防災の管理者が様子を確認しに来ます。
管理人さんなどが問題ないことを確認したら、受信機を操作してベルを止めてくれます。
住宅用火災警報器は住宅への設置が義務付けられている
平成23年から既存も含めた住宅への火災警報器の設置が義務化されています。
そして、新築住宅への火災警報器の設置が義務化された平成18年以前の住宅には火災警報器が取り付けられていないこともあります。
また、住宅用火災警報器は電池で動いているため10年程度で交換することが推奨されています。
もし、火災が起こってしまった場合に、住宅用火災警報器が設置してあると、設置していない場合に比べて死者の数が半分まで減るといわれています※。
いざという時のために住宅用火災警報器の設置や交換について考えてみるのはいかがでしょうか。
火災警報器の選び方ですが、基本的には火災の感知能力が高い煙感知器を設置します。台所など誤作動の可能性がある場所には熱感知器を設置します。
代表的なメーカーについて紹介します。
住宅用火災警報器が気になった方は右のリンクを見てみてください。
※総務省消防庁サイト https://www.fdma.go.jp/relocation/html/life/juukei.html
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
自宅でキャンドルを使用しても火災警報器が鳴るのかについて消防設備士の僕が考察しました。
基本的には自宅でキャンドルを使用していても火災警報器が鳴ることはないと考えます。安心してキャンドルに癒されてください。
火災警報器は誤作動をすると厄介な設備ですが、いざという時は命を守ってくれる大切な設備です。この記事を機会に少し考えてもらえら嬉しいです。
また、このサイトではアロマキャンドルに関する記事も用意しています。よかったら読んでみてください。
この記事がみなさんの参考になればうれしいです。




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