駐車場での大規模な火災のニュースを見たことがある人は多いと思います。
自動車はガソリンやバッテリーを使用しており、一度燃え始めると大きな炎となり、大規模な火災につながることがあります。
実際、駐車場での火災は令和6年の調査では全体の26%も占めています。
もし、駐車場で自動車火災を見つけた場合は、赤い箱の「移動式粉末消火設備」を使用して初期消火をすることが、大規模な火災を防ぐために重要です。
この記事では、粉末消火設備が自動車火災に有効な理由と、駐車場に設置されている移動式粉末消火設備の使い方について紹介しています。
移動式粉末消火設備について知識を持っていると、いざという時に対応することができます。
自動車が燃えると大きな火災につながることがある
近年では多くの種類の自動車が走っていますが、多くの自動車がガソリンを使用して走っています。そのため、ほとんどの自動車のガソリンタンクにはガソリンが貯蔵されています。
ガソリンは非常に燃えやすい特徴を持っています。自動車から出火すると、やがて燃料タンクに火が回り、ガソリンに引火することによって爆発的に大きな炎に成長します。
ガソリンを使用していなくても、電気自動車には大型のバッテリーが設置されています。バッテリーは発熱すると高温の炎を発生することがあり、こちらも大規模な火災のリスクがあります。
自動車メーカーは安全性を高めるために様々な対策をしていますが、いざ、引火してしまうと大きな被害につながる可能性が高いんです。

実際に、自動車が原因となって大きな火災になった映像を紹介します。火災の迫力を感じてみてください。
映像から大規模な火災の迫力が伝わってくると思います。
自動車の火災はあまり頻繁には聞かないと思いますが、じつは、令和6年の消防白書※によると、車両の火災件数は1年間で3,521件も起きています。
一日当たり10件近くの車両火災が起きているんです。
※参考:令和6年版消防白書 https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r6/68138.html
参考:(一社)日本自動車会議所:https://www.aba-j.or.jp/info/industry/23565/
初期消火には移動式粉末消火設備が有効
自動車が炎上した際の初期消火には、駐車場に設置されている「移動式粉末消火設備」を使用することが有効です。
粉末消火設備とは

そもそも、物が燃える「燃焼現象」ということはどういうことなのでしょうか。
燃焼とは激しい酸化現象です。主には炭素が酸素と結びついて発熱することにより、さらに炭素が炭素と結びつきやすくなるという、連続的な反応を起こします。
そのため、燃焼するためには「燃えるもの」と「酸素」の関係が重要で、下記の条件が揃う必要があります。
- 「燃えるもの」と「酸素」が接していること
- 「燃えるもの」と「酸素」が結びつくための温度になっていること
- 「燃えるもの」と「酸素」が結びつく反応が起こること
粉末消火設備は、文字通り粉末を使用して燃焼を止める設備です。
より身近なものだと、粉末の消火器があります。消火器からピンク色の粉が出ている様子を見たことがあるひともいるのではないでしょうか。
粉末消火設備に使用されている粉末は、燃焼を止めるための化学的な性能を持った、特別な粉末です。
粉末消火設備は「燃焼が続く条件」に対して、下記の作用で消火します。※
- 「燃えるもの」を粉末で覆い、物理的に「酸素」と離す
- 「燃えるもの」と「酸素」が結びつく反応を化学的に止める。
※参考 日本ドライケミカル株式会社 https://www.ndc-group.co.jp/products/building/powder/index.html
粉末消火設備が駐車場に設置されているのはなぜ?

消火設備といえば、スプリンクラー設備を思い浮かべる人が多いと思います。
では、なぜスプリンクラー設備は駐車場に使用されないのか考えてみましょう。
みなさんは、水の上に油が浮いているのを見たことがあるでしょうか。例えば、ラーメンはスープの表面に油が浮いていますよね。
ガソリンも同じで水に浮く性質を持っていますのですが、この性質がスプリンクラー設備による冷却効果や窒息効果といった消火性能を低減しているのです。
燃えているガソリンに水をかけると、水の上に燃えているガソリンが浮かぶことになります。そのため、下記のような現象が起きます。
- 水と一緒に燃えているガソリンが流れて被害が拡大する恐れ
- 水が急加熱されて水蒸気となり、急激に炎が拡大する恐れ
- 水の上に燃えているガソリンが浮かぶので、水で覆うことができない
- ガソリンが気化して爆発的な燃焼が起こる可能性がある
粉末消火設備では粉末がガソリンを覆うことができ、さらに化学反応によって燃焼反応を止めることができるので、ガソリン火災に有効です。
そのため、駐車場ではスプリンクラー設備は使用されません。
法令でも、消防法施行令の第13条には駐車場の消火設備として、粉末消火設備をはじめとして、泡消火設備、ガス消火設備を使用するように定められています。
粉末消火設備はガソリンはもちろんのこと、一般可燃物や電気設備による火災にも有効な消火設備です。
そのため、ガソリン消火にも、自動車の消火にも、バッテリーの消火にも有効な設備です。
駐車場でよく見る「赤い箱」は移動式粉末消火設備
このように、ガソリン消火に有効な粉末消火設備ですが、粉末消火設備には、自動で天井から粉末消火薬剤を放出する固定式と、人がホースで火源に向かって粉末消火薬剤を放出する手動式があります。
消防法施行規則第21条に記載されている、第三種粉末を使用するなどの条件を満たせば、駐車場に移動式の粉末消火設備を設置することができます。
ところで、「移動式粉末消火設備」って聞きなれない言葉ですよね。
駐車場に行く機会があれば、周りを見渡してみてください。特に屋上や平面駐車場では、「移動式粉末消火設備」と書かれた赤い箱があるはずです。
実は、みなさんがよく利用している駐車場でも、移動式粉末消火設備がいざという時のために設置されている可能性があります。
移動式粉末消火設備の使用方法
移動式粉末消火設備の存在や、自動車火災への有効性に気付いても、いざという時に使用できなければ適切な初期消火はできません。
まずは、移動式粉末消火設備の使い方について、消防庁の動画で確認してみてください。実際に消火する様子も見ることができます。
- 扉を開ける
- バルブを全開にする
- 放出弁を全開にする
- ホースを伸ばす
- レバーを開ける
移動式粉末消火設備による消火は、私たち一般人が行う初期消火です。
初期消火では消火できる火災に限度があるので、自分の安全を第一にして、危険を感じたら消火を中断して避難してください。
粉末消火設備の自動車への影響
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
粉末消火設備は自動車の消火に有効な消火設備です。
多くの駐車場には移動式粉末消火設備が設置されているので、いざという時のために移動式粉末消火設備の存在と使い方を知っておいてください。
移動式粉末消火設備はあくまで初期消火ですので、身の危険を感じたら消火を中断して避難してください。
また、地下駐車場などの閉鎖的な駐車場ではガス消火設備が設置されている可能性があります。ガス消火設備は起動するときに放送が流れるので、避難を指示する放送が流れたら、すぐに避難してください。
密閉度が高い駐車場では、泡消火設備が設置されている場合があります。手動でも操作できますが、自動で消火が始まるので、避難してください。
この記事が、大規模な火災の予防につながればうれしいです。
↓ガス消火設備についてはこちらをご覧ください。↓



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