原理や仕組み

状態変化と温度の関係 | 加湿器・除湿機・ボンベの実例を紹介

原理や仕組み
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この記事を読んでわかること
  • 加湿器を使うと室温が下がるのはなぜか
  • 除湿機はどのように空気中の水分を減らしているのか
  • 状態変化と温度の関係は何か
この記事がおすすめなひと
  • 加湿器や除湿機のしくみについて、もう少し詳しく知りたい
  • 堅苦しくなく、簡単に「状態変化」と「温度」の関係について知りたい
  • 断熱圧縮や断熱凝縮という言葉のイメージをつかみたい

 加湿器を使うと、部屋が少しひんやり感じることはありませんか。

 除湿機がどうやって空気中の水分を減らしているのか、不思議に思ったことはないでしょうか。

 実は、これらは「物質の状態変化」と「温度」の関係を理解するとわかるようになります。

 加湿器や除湿機のおおまかな仕組みは別の記事で紹介していますが、この記事ではもう一歩先の状態変化と温度の関係から解説します。

 状態変化と温度は密接に関わっています。この記事では、できるだけ難しい言葉を使わずに基本的な部分から説明していきます。

 中学1年生で初めて習う状態変化ですが、実は身近な現象とつながっていることを感じてもらえるとうれしいです。

 そして、科学の面白さを感じてもらえることを、この記事の目標にしています。

状態変化とエネルギー

固体・液体・気体の運動と分子の結びつきのイメージ図

 水は自在に形が変わる「液体」という状態です。コップなどの容器にいれると、その形状に合わせて形が変わります。

 水を冷凍庫に入れて冷やすと、形が変わらない氷になり「固体」という状態になります。

 逆に、鍋で水を加熱していくと水蒸気という、より自由に形が変わる「気体」に変わって空気中に出ていきます。これは、鍋に溜まった水が少なくなっていくことでわかります。

 物質を細かく見ると「分子」という小さな粒が集まっています。

 固体は分子が強く引きつけ合いながら振動しているような状態。液体は分子が動けるような状態、気体は分子が激しく動いているような状態です。

 分子が激しく動いているということは、エネルギー(運動エネルギー)が高いといえます。

 少しだけ詳しく言うと、エネルギーのひとつである運動エネルギーEは、質量m(重さ)に動いている速度v(速さ)の2乗をかけた値を半分にして表すことができます。(E=1/2mv2E=1/2{m}{v}^2)

 そのため、固体、液体、気体は、同じ物質でも、固体、液体、気体の順にエネルギーが高い傾向にあります。

 加えて、固体、液体、気体では分子の結びつき方が異なっており、結びつき方によっても、固体、液体、気体の順にエネルギーが高くなっています。

 基本的には、固体、液体、気体の順に分子同士の結びつき方によるエネルギーが高くなります(位置エネルギー)。そのため、固体から液体、液体から気体に変化するためにはエネルギーが必要です。

 エネルギーが状態の変化に使用されているときは、分子同士の結びつき方の変化にエネルギーが使われるため、温度となる分子の動きの激しさ(運動エネルギー)は変化しません。

 分子の動きの激しさが変わらないということは、物質の温度は変わりません。

 この記事では詳しく解説しませんが、物質にかかる圧力の高さによっても状態変化が起きます。圧力が高くなると、気体から液体、液体から固体と変化します。

基本的には固体、液体、気体の順番にエネルギーが高くなります

状態変化と温度の関係

状態変化における温度とエネルギーの関係

 状態変化とエネルギーについて解説しました。

 分子が激しく動いているとエネルギーが高いといえると説明しました。実は、分子が早く動いているというのは、熱を持っているということなんです。

 熱はエネルギーのひとつで熱エネルギーとも言います

 例えば、車や自転車はブレーキを踏むと減速しますよね。

 これは、車のブレーキを踏んだときに、車が持っている運動エネルギーがブレーキの摩擦による熱エネルギーに変換され、車のスピードが落ちているんです。

 これは、運動エネルギーと熱エネルギーが同じ単位で扱えているので、同じエネルギーとしていえます。

 前の章で、固体から液体、液体から気体へと変化(状態変化)するためには、エネルギーが必要と言いました。多くの場合は熱を使って状態変化をしています

 状態変化の時に物質に加わった熱は、分子同士の結びつき方を変えるために使用され、分子の運動の激しさには使用されません。

 物質の温度は分子の運動の激しさなので、状態変化の時に加えた熱は物質の温度を上げません。温度の上昇として現れないので「潜熱」と呼ばれます。

 そのため、固体から液体、液体から気体とエネルギーが高くなる状態変化の場合は、周囲の熱を奪います(吸熱)。結果、周囲の温度を下げます。

 逆に、気体から液体、液体から固体とエネルギーが低くなる状態変化の場合は、周囲に熱を与えます(発熱)。結果、周囲の温度を上げます。

熱はエネルギーの1種です。主に発熱や吸熱によって状態の違いによるエネルギーの差を補っています。

【例】加湿器を使用すると室温が下がる

加湿器のミストが周囲の空気の温度を下げるイメージ図

 加湿器を使用していると、部屋の温度が下がる場合があります。

 主な加湿器の仕組みは「こちらの記事」で紹介しています。加湿中に部屋の温度が下がるのは、超音波式加湿器の特徴です。

 超音波式加湿器は、細かな水の「ミスト」を空気中に放出し、ミスト(液体)が蒸発して水蒸気(気体)になり、空気中の水分量が増えることで加湿しています。

 水(液体)から水蒸気(気体)への状態変化は、エネルギーが高くなる方向の変化です。このエネルギー差に相当する熱を周りから奪うので、部屋の温度が下がります。

【例】除湿機が空気を冷やす仕組み

除湿機が冷媒を状態変化させることによって温度を低下させるイメージ図

 除湿機には状態変化を利用して除湿を行う方法があります。

 主な除湿機の仕組みは「こちらの記事」で紹介しています。状態変化を利用しているのはコンプレッサー式の除湿機です。

 状態変化を利用するものの多くは、使用条件で状態変化をしやすかったり、状態変化に必要なエネルギー量が多い物質を使うのですが、それらの物質のことを「冷媒」と呼びます。

 コンプレッサー式の除湿機は、圧力を加えて冷媒を高温高圧ガスにします。冷媒の温度が周囲の空気よりも高温になったことで熱を周囲の空気に放熱できるようになり、この高温高圧ガスを冷却して液体にします。

 高温高圧ガスの熱を空気に放熱することで、気体から液体へとエネルギーが低い方向に状態変化をしています。

 高い圧力が加わっていることで、通常では液体にならない温度でも液体にすることができます。

 次に、液体の冷媒の圧力を下げることで強制的に気体にします。先ほどとは逆に、エネルギーが高い方向に状態変化しているので、不足した熱が吸熱され冷媒の温度を下げます

 この低い温度の冷媒に空気を当てることで、空気から熱を奪って冷却する仕組みです。

 除湿の原理は先ほどの記事で紹介していますが、空気の温度が下がると、空気が含むことのできる水分量が減るので、空気が含み切れなかった水分が水として排出されます。

 冬に窓が結露するのと同じイメージです。

 この冷やされた空気に、先ほどの高温高圧ガスになった冷媒を当てることによって、空気を室温程度に暖めます。

 暖まった空気は含むことのできる水分量が増えるので、部屋の湿度が下がります。

 高温高圧ガスの排熱を室外に逃がして、部屋の中の空気を冷やすだけにするのがエアコンの仕組みです。

【例】二酸化炭素と状態変化(ドライアイス、ボンベ)

ドライアイスや液化二酸化炭素のエネルギーと周囲に及ぼす影響

 ドライアイスから白い煙が出る理由

 ドライアイスから白い煙が出ているのを見たことはないでしょうか。二酸化炭素は無色の気体なのに、なぜ白く見えるのでしょうか。

 ドライアイスは二酸化炭素の固体です。二酸化炭素が急速に気体に状態変化する温度は-78.5℃と常温よりも低い性質を持っています。

 そのため、ドライアイス(固体)を置いておくと、次々に二酸化炭素ガス(気体)に変化していきます。

 ドライアイスから二酸化炭素ガスへの状態変化はエネルギーが高い方向への変化なので、周囲の空気から熱を奪います

 空気の温度が下がると、空気が含むことのできる水分量が減るので、空気が含み切れなかった水分が空気中に細かい水として現れます。

 この水が白く見えるので、ドライアイスから白い煙が出ているように見えるのです。

 ドライアイスは常温で気化するほど低い温度の固体です。素手で触ると火傷の危険があるので、触らないように注意しましょう。

※職場のあんぜんサイト https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/124-38-9.html

二酸化炭素ボンベから出たガスが白く見える理由

 火災のときなどに二酸化炭素消火設備が起動して二酸化炭素が部屋の中に出ると白く見えます。二酸化炭素は無色の気体なのに、なぜ白く見えるのでしょうか。

 二酸化炭素消火設備に使用する二酸化炭素ガスは、圧力をかけて液体にした状態でボンベに入っています。

 気体よりも液体の方が少ない体積にすることができるためです。(気体よりも液体の方が密度が高い) 

 二酸化炭素消火設備が起動して二酸化炭素が部屋の中に出ると、ボンベに詰められていたときにかかっていた圧力がかからなくなるので、液体から気体に状態変化が起こります。

 液体から気体はエネルギーが高くなる方向の状態変化なので、不足するエネルギーを周囲の空気から熱を奪うことで補います

 この後はドライアイスと同様に、空気の温度が下がると、空気が含むことのできる水分量が減るので、空気が含み切れなかった水分が空気中に細かい水として現れます。

 この水が白く見えるので、二酸化炭素が部屋の中に出ると白く見えます。

 補足ですが、消火設備によって二酸化炭素が部屋の中に出されると、二酸化炭素の濃度が高くなり危険があります。

 目視で安全そうに見えても、無色の二酸化炭素が高濃度で残留している可能性があるので、部屋の中には入らないでください。詳しくは下の記事で紹介しています。

まとめ

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 状態変化と温度の関係についての説明と、実生活で感じられる実例について紹介をしました。

 固体、液体、気体にはエネルギー差があり、エネルギーのひとつである熱を放熱したり吸熱したりすることによって状態が変化します。 

 逆に、状態変化が起こることによってエネルギー差が生まれ、熱が放熱されたり吸熱されたりします。

 加湿器などを例に、状態変化が身の回りの現象であることを感じてもらって、科学に興味を持ってもらえたらうれしいです。

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